自己紹介


    井上 修身

織物を生業とした家に育ち共に歩んで 72年 ペルシャ絨毯に魅せられ1972年独立創業以来 5200例のご家庭のペルシャ絨毯のお手伝いをしてきました。美しいペルシャ絨毯は見るたびに新鮮で手織り絨毯の奥深さを感じさせてくれます。


1998年開設以来20年間続けてきました ホームページ persiancarpet.co.jp / rug shop.com は2018年12月9日卒業致しました。

長期間にわたりご愛顧を賜り誠に有り難く感謝申し上げます。『ペルシャ絨毯屋2.0』は次男が運営する新たなコンセプトのページです。私は絨毯のアドバイザーとしてお客様がより良いペルシャ絨毯に出会えるようお手伝いを続ける所存です。

よろしくお願い申し上げます。


ペルシャ絨毯に関するご質問は『メール』でお願いします。知り得る限りお答えしたいと考えております。
誠に恐縮ですがお身元のお知らせのない匿名でのお問い合わせはご遠慮ください。


Yamanakako House


Yamanakako House

写真の絨毯はアルデビル絨毯のデザインを模し、実物の約 1/4 サイズに仕上げ、『モハマディ家の曙』と織り込まれたこの絨毯には隆盛を誇った在りし日のモハマディ家の華燭が感じられます。

1986年入手時は泥に汚れ模様も見えずこれほどの絨毯であろうとは予測出来ませんでした、正に蘇った魔法の絨毯です。




『ペルシャ絨毯 と その審美感』

(創業間もない頃の私の初心を綴った絨毯カタログより)

 オリエントの国々に伝え継がれてきた 手結びのパイル織り絨毯の歴史は三千年とも四千年とも言われています、南シベリア、アルタイ山地のパジリク古墳で発見された絨毯が 現存する最古の絨毯で 紀元前500年頃の絨毯 その模様がペルシャ最初の統一王朝アケメネス朝の模様と似ている為 源流はペルシャであると考えられています。

 ペルシャ絨毯が保温のための生活必需品から芸術品にまで高められたのが 16~17世紀のサファヴィー朝時代 とりわけアッヴァース大帝が芸術を保護育成し宮廷御用達の絨毯製織所を各地に設けたので 宮廷やモスクを飾る絨毯や祈祷用の絨毯が次々と生まれました その技術が数世紀を隔てて今に伝えられ 現在各地の博物館などに保存されているものはほとんどがこの時代以降のものです そして日本にもシルクロードを通って伝来し 京都の祇園祭の山鉾を今も色鮮やかに飾っています。

 天然の植物染料を使っているので 手入れをすれば不死鳥のように色がよみがえる美術品 結び目の数が主にその価値を決定し 1平方メートルに30万から100万もの結び目が織り込まれています この緻密な作業は指先の繊細な少女が主力となっており 1枚織り上げるのに1年 名品にもなると20年以上費やすといわれています あたかも織姫たちが自分自身の人生を織り込んでいる様に思われます。

 人生模様、人間模様、といった言葉があるように 人生を縦糸と横糸の組み合わせから織られる模様にたとえる表現は 古くからあり ギリシャ神話では 運命が三女神からなっており その一人の紡ぐ人は生命の横糸をつかさどっており 運命は糸として 人間の縁は絆として表現されています。

 絆といえば、サマセットモームの「人間の絆」という本があります、人生の意味は何かと問う主人公フィリップに対する解答として友人クロンショーは一枚のペルシャ絨毯を残していきます 主人公はそれを見て人生に意味などないことを感じ 織匠が精巧な模様を織り出す目的がただその審美感を満足させるだけであるように 人間もまた同じように生き その人生はひとつの模様意匠でしかないことを悟ります。

 絨毯に織り出される模様は人間の過去の軌跡であり 未来の運命の予告であり また現実となり 永遠となることによって運命の比喩となっています 模様は眼で追われるだけでなく 足でたどられ 全身で見られ 読まれるものとなる この模様に私たちが魅了されるのも 我々の内にそれぞれの持つ人生観 宇宙観といった 漠然とした心の奥底の風景とどこか重なり合うからであろう。

 一枚の絨毯の中に人生が見え 宇宙が見える やはりペルシャ絨毯は魔法の絨毯なのではないでしょうか。